死亡は確認していません(むしろ死亡させません)

いのちの食べかた
頭切られて腹裂かれる・・・牛や豚の「加工」現場、生々しく
id:heiminさんのところで知った。J-CASTにうすの映画コラム?
http://www.j-cast.com/tv/2007/10/16012212.html
まー映画評というよりは「感想」なのでその方向性をどうこう言う気はないが

牛の場合はもっと残酷だ。大きな体をカプセルに押し込まれ、優しい目をした可愛い顔を閉所から出しているところを、コテのようなもので額にショックを与えられ悶絶。死亡を確認後、宙吊りにされ解体される。喉から腹に刃物を入れると滝のように噴出して流れる血。解体人は慣れた手つきで、浴びた血をホースで洗い流す。

これは間違い。正確には、屠畜専用の銃は牛を殺すためではなく、眉間に強い衝撃を与え神経をマヒさせるだけ。
で、血抜きは生きたまま動脈を裂いて行われる。もし銃で撃ったときに死んでしまったらそこから血液が凝固し始めるわけだから「滝のように噴出」はしない。なぜ生きたままかというと、心臓が止まった瞬間から血が凝固しはじめて、体内に血液が残ってしまうから。新鮮で美味しいお肉にするには非常に大事な作業というわけ。そこらへんのことは内澤旬子さんの「世界屠畜紀行」(解放出版社*1に細かく書いてあるから一読のこと。つーか、目をそむけたいんだったらいい加減なレビューとか書くな(笑 ドMかこのバカは。

ひとりだけ綺麗なふりすんな

下の追記。ちうかね、おれはこの映画観に行ったわけなんだが、非常に細やかな神経で撮られた映画だと思ったよ。
無駄な音楽やナレーションで煽ることなく、実際に行われている作業行程を淡々と見せる。画自体の構図も緻密に計算されていて美しかったし。
作業員が無表情で不気味とかいうけど、ライン仕事をただこなしているだけなんだから当たり前じゃん。1頭1頭さばくたびに「ひゃんっ! 血が怖いですぅ」とかゆってたら仕事になんねーだろ。むしろ普段「焼肉wwwwうめぇwwwwwwww」とか言ってるくせにこういうアホな記事書ける神経の方が不気味だ。


こないだの土日にね、芝浦の「食肉まつり」に行ったわけよ。基本、肉の特売とか試食とかなんだけども、以前から屠畜に興味のあったおれは展示も見たのね。素っ気無い展示室に、屠畜作業の流れとか屠畜銃とか展示してあるんだけど、その中にナチュラルに「差別の歴史」っていうコーナーがあって、芝浦と場に送られてきた中傷文が置いてあったのね。
もう、あれだよ。普通にキチガイキチガイの書いたハガキ。まぁでもそういう人ってのは自分自身も苦しい生活の末そんな風になっちゃったってこともあるから、切ないし屠畜場の人たちは気の毒だけど仕方ない部分はあるかなーって思うんだ。
でもそれから外に出て、果たしてこの特売品の肉に群がってる人の中で、実際に屠畜作業の流れを見て「非人間的」とか思って目を背けちゃう人もいるんだろうなーって思ったら本気で気分が悪くなった。
普通の人たちばっかりだったよ? そこで働いていたのは。クイズの答え出したら笑顔で牛乳石鹸手渡してくれたイケメンお兄さんとか、ドライアイスくれたおっちゃんとか、押し寄せるおばちゃん軍団に負けそうなおれの会計を優先してくれたおっちゃんとか。当たり前だけどみんな普通に善良で優しい人だったよ?
なんで、みんなが食べるもの作ってるだけで「残酷」とか「不気味」とか言われなきゃいけないわけ? そら偽装だのしたらバカモンって話だけどさ。そういうところに働いてる人が「差別されるからやめます」って言って仕事ボイコットしたらどうするわけ? みんな自分で牛とか豚をさばけるの?
ダブルスタンダードもいいとこだろ。それって。食うために育ててる牛を食って何か問題ある?
そりゃー実際牛ちゃんを育てると可愛くて仕方ない。言葉通じてるんじゃないかって思うときもあるし。だけどさ、それ、食うために飼ってるんだよね。そこで罪悪感みたいなのが生まれることは理解できるけど、それでもやっぱり美味しくいただくというのが、人の抱える「原罪」(って、んなものねーと思ってるけどさ)を償うためにも必要なことなんじゃないの?
人間だって、殺して食って糞する生き物だ。そんなもんだよ。ひとりだけ、綺麗なふりすんな。ばか。