つまみよみ

田辺聖子の「性分でんねん」を流し読みしている
流し読みというか、思いついたときにぱっと開いたり、ぱらぱらとページをめくっては目についたところをうーむと読む いわばつまみ読みだ
が、田辺さんにしてみりゃそれで「かましまへんねん」だろうし、だからこそ、こちらも気負いなく、都合のいいところだけ読むことができる
新人賞の選考委員になってしまった田辺さんが、下読みの段階で落選した応募者から「田辺さんに読んでほしくて応募しました! せめて読んでください」とかいう熱い手紙をもらったが結局その人の小説を読まなかった
その理由が「タイトルがつまらなそうだったから」というのに、「ひでぇ」と笑いながらも、もっともだとも思った
他人というものの切り捨て具合というのは、ひとによって違うけれど、田辺さんのそれは深いようでいて、かなり浅い段階で切り捨てる
それは切り捨てるほうにしろ切り捨てられるほうにしろ、まずまずいい塩梅に違いない