スプーンおじさんのこと

スプーンおばさん」というと往年の名作アニメであり、小さくて可愛いおだんご頭の初老女性を想起するが「スプーンおじさん」というと途端に卑猥な感じがしてこないだろうか。
少年少女の前に立ちふさがり、低くこもった声で「スプーンおじさんだよ」と囁くおじさんの手に握られたスプーンは、青すぎる果実から溢れる果汁を無理矢理すくいとり味見するためのもの。夕闇の中あやしく光る鈍色のスプーンに子供たちは恐怖し、母親たちはヒステリーを起こし、近隣の学校では集団下校が行われる事態となるのであった。