性を笑え!「肉食系女子の恋愛学」感想

肉食系女子の恋愛学」(桜木ピロコ著、徳間書店
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とりあえずざっくりと読了。やはり、この本の想定される読者は女性だよなぁ。
一般に「ヤリマン、サセコ」と称される恋愛やセックスに貪欲な女の実態レポートと考察が本書の主な内容だが、それを潜在的に求めているのは「肉食系女子」自身だと思う。
なぜなら「誰にでもやらせる」わけではないしセックス依存症というわけでもない、セックスに貪欲な女性は自らの存在が何者であるかという客観的認知がなされてこなかったからだ。ひとは名前のないものを恐れる。命名されない自分、ないしは自分の性に恐れつつ、「狩り」を続けるのは精神的なデメリットが大きすぎる。
そこで肉食系女子の代表である桜木氏は、自ら名乗りを挙げたのではないか。本書で繰り返される「肉食系女子には女の友人がいない」という言葉は、こういった女子の共感を得るだろう。女性のコミュニティーは「共感」を中心としたそれである。ともすると同性の反感を買い、孤独に陥りがちな肉食系女子に桜木氏は投げかける。
「アンタだけじゃないよ」

悪態まじりの軽妙な文章とコミカライズされた分類は、誰かをバカにするためのものでもないし型にはめるものでもない。
ただ「自分の性(せい、さが)を笑う」ために。その生きる知恵を同じ境遇のひとと分かち合うために紡がれたものだ。

おれはこの桜木氏を愛のひとだと思う。